社会保険料の納付方法や計算方法について、「いつ払うのか」「どうやって納付するのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
社会保険料の納付方法・計算・子ども・子育て支援金への対応は、企業実務において非常に重要なポイントです。
本記事では、社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)の納付方法や計算の仕組み、納付期限、賞与時の取扱いまで、実務に沿ってわかりやすく解説します。
1.社会保険料の基本的な仕組み
社会保険料は、従業員の給与や賞与を基に計算され、会社と従業員が原則として折半で負担します。
各保険の役割は、以下の通りです。
- 健康保険料:医療費の一部負担や出産手当金などの給付に充てられます。
- 介護保険料:40歳以上64歳までの被保険者(第2号被保険者)を対象に徴収され、介護サービスの財源に充てられます。
- 厚生年金保険料:老後の年金や障害年金、遺族年金の財源となります。
さらに、2026(令和8)年4月分(5月納付分)からは、「子ども・子育て支援金制度」が開始されています。
この制度は、少子化対策の財源確保を目的として、全ての世代および企業から支援金を拠出し、子育て施策の拡充に充てるものです。
こどもや子育て世帯を社会全体で支える仕組みとして創設されました。
なお、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者についても、それぞれの制度を通じて支援金を負担することとなります。
企業および被用者保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している従業員については、医療保険料に上乗せする形で徴収され、会社と従業員が負担する仕組みとなっています。
また、「子ども・子育て支援金」とは別に、企業が全額負担する「子ども・子育て拠出金」という制度も存在します。
両者は名称が似ていますが、負担方法が異なるため注意が必要です。
- 子ども・子育て支援金:企業と従業員が負担
- 子ども・子育て拠出金:企業が全額負担
※子ども・子育て支援金の負担率は段階的に引き上げられる予定となっており、今後の制度改正にも注意が必要です。

2.徴収方法
これらの保険料は、給与支給時に従業員負担分を控除し、会社負担分と合わせて会社がまとめて納付します。
各従業員の毎月の給与より、前月分の保険料(年金事務所に従業員ごとに申告している標準報酬月額によって決定した保険料)を徴収します。
3.保険料の計算(令和8年度)
社会保険料の計算の基礎となるのは、主に「標準報酬月額」です。
標準報酬月額とは、各従業員が会社から受け取る給与の金額に応じて、等級ごとに区分された保険料算出の基準額です。
次のように、従業員が会社から受け取る給与の額(報酬月額)に応じて、標準報酬月額の等級が決定されます。
協会けんぽ(全国健康保険協会)の健康保険料率は、都道府県ごとに異なります。

愛知県 45歳 給与305,000円の場合
仮に会社から支払われる報酬が305,000円の場合、報酬月額の表にあてはめると22等級(厚生年金保険は19等級)となるため、標準報酬月額は300,000円となります。
40歳以上のため、介護保険第2号被保険者となり、健康保険料率(9.93%)と子ども・子育て支援金率(0.23%)に介護保険料率(1.62%)が加わります。
上記は、全国健康保険協会加入で、愛知県に事業所がある場合の保険料額表です。加入している健康保険組合や、事業所の場所によって保険料率は異なります。等級表や保険料率については、加入している健保組合などに確認をしましょう。
上記に当てはめた従業員負担分、会社負担分は以下のとおりです。
※以下は一例です。実際の等級や保険料額は、年度や保険料率により異なります。
令和8年度保険料 愛知県の企業・45歳・給与305,000円の場合
| 健康保険料・介護保険料 | 子ども・子育て支援金 | 厚生年金保険料 | 子ども・子育て拠出金 | 合計 | |
| 従業員負担 | 17,325 | 345 | 27,450 | 0 | 45,120 |
| 会社負担 | 17,325 | 345 | 27,450 | 1,080 | 46,200 |
| 合計 | 34,650 | 690 | 54,900 | 1,080 | 91,320 |
4.納付方法の選択肢
原則、社会保険料は口座振替または納付書により納付します。前月分の被保険者本人負担分と会社負担分に子ども・子育て拠出金(全額会社負担)を合わせた保険料を納付します。
社会保険料の納付期限は、原則として翌月末日です。ただし、期限が土日祝日にあたる場合は翌営業日が締切となります。
(1) 口座振替
口座振替は、最も一般的かつ便利な納付方法です。あらかじめ指定した銀行口座から自動的に保険料が引き落とされるため、納付忘れを防げます。
(2) 金融機関での窓口納付
金融機関の窓口で納付書を使用して支払う方法です。
毎月20日前後に年金事務所から前月分の社会保険料の納付書が会社宛てに送られてきますので、届いた納付書を使って窓口で納付します。
5.賞与時の保険料
賞与に対する社会保険料は、給与とは別に計算され、毎月の社会保険料と併せて納付が必要です。また、賞与支給後、速やかに(原則として、賞与支給日から5日以内)賞与支払届を年金事務所に提出しなければなりません。
支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた金額を標準賞与額とし、賞与にかかる社会保険料を計算する基礎となる額になります。
賞与の社会保険料は、この標準賞与額をもとに算出されます。
賞与にかかる社会保険料は、次の式で求められます。
標準賞与額 × 保険料率
標準賞与額の上限
- 健康保険、介護保険及び子ども・子育て支援金は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額。)
- 厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は月間150万円
賞与にかかる保険料を計算する際は、健康保険、厚生年金保険でそれぞれ上限があるため、既に支払った賞与についても確認し、間違わないように注意しましょう。
6.まとめ
社会保険料は、給与や賞与を基に計算され、会社と従業員が共同で負担する重要なコストです。
- 前月分を翌月末までに納付
- 給与・賞与それぞれで計算
- 納付方法は口座振替・納付書
といった基本ルールを押さえておくことが重要です。
また、2026年4月からは「子ども・子育て支援金制度」が開始され、従来の社会保険料に加えて新たな負担が生じています。
制度改正により企業の実務はますます複雑化しているため、正確な知識をもとに適切な対応を行いましょう。
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