(記入例付)1年単位の変形労働時間制に関する協定届の書き方を解説

前々回の記事「変形労働時間制とは?1か月単位・1年単位の違いと選び方

前回の記事「1年単位の変形労働時間制とは?

では、変形労働時間制の全体像と、1年単位の変形労働時間制の導入要件・上限規制について解説しました。

今回は、実際に労働基準監督署へ提出する「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」(様式第4号)について、記載欄ごとに書き方・記入例を詳しく解説します。

1年単位の変形労働時間制は、労使協定を締結するだけでなく、その内容を協定届にまとめて所轄労働基準監督署へ届け出ることが法律上の要件になっています。

記載欄が多く、対象期間・特定期間・総労働日数・総労働時間・連続労働日数の限度など、専門的な項目が並ぶため、初めて作成する場合は戸惑う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、実務担当者が実際に手を動かせるレベルまで、欄ごとに丁寧に解説していきます。

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協定届の全体像

1年単位の変形労働時間制に関する協定届は、正式には「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」(様式第4号)といいます。労働基準法第32条の4に基づき締結した労使協定の内容を、所轄労働基準監督署へ届け出るための書式です。

重要 協定届の様式は改正されることがあります。実際に提出するときは、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」から最新の様式第4号を取得してください。

窓口への持参のほか、郵送、e-Govを利用した電子申請でも届け出ることができます。

電子申請を利用する場合は、事前に利用者IDの取得が必要であり、社会保険労務士が提出代行する場合は提出代行証明書の登録も必要になります。

協定届を作る前に準備する資料

協定届には、締結した労使協定書の写しと、対象期間中の労働日・労働時間を具体的に示した年間会社カレンダー(勤務カレンダー)を添付します。

協定届の提出だけでは足りず、これらの添付書類とセットで初めて有効な届出となる点に注意してください。

協定届の数字は、年間会社カレンダーや労使協定の内容から集計して記載します。先に次の資料をそろえておくと作成がスムーズです。

  • 1年単位の変形労働時間制に関する労使協定
  • 年間会社カレンダー、勤務カレンダー、勤務区分表など、労働日・休日・各日の労働時間が分かる資料
  • 就業規則(始業・終業、休日、週の起算日などの確認用)
  • 前年も制度を利用している場合は、旧協定・前年の協定届・前年の年間カレンダー
  • 時間外労働を予定している場合は36協定

労働日・労働時間を別紙年間カレンダーで特定する一般的な運用では、協定届と労使協定、年間カレンダー等の内容が相互に一致していることが重要です。

1年単位の変形労働時間制に関する労使協定書

協定届は労働基準監督署へ届け出るための様式であり、労使間で合意した内容を記録する労使協定書とは役割が異なります。別に労使協定書を作成する方法のほか、協定届に労使双方の合意が確認できる形を整え、協定書を兼ねる方法もあります。

ただし、単に会社が届出書を作成して過半数代表者の氏名を書いただけでは、労使協定を締結したことにはなりません。協定内容を確認し、対象期間開始前に労使の合意を成立させます。

年間会社カレンダー

対象期間中の労働日と休日、各日の所定労働時間を示す年間会社カレンダーを作成します。協定届に「別紙のとおり」と記載する場合は、どの勤務区分がどの始業・終業時刻に対応するのかも分かるようにします。

就業規則

就業規則には、1年単位の変形労働時間制を採用すること、対象期間、対象者、始業・終業時刻、休日などを定めます。常時10人以上の労働者を使用する事業場で就業規則を変更した場合は、就業規則変更届と労働者代表の意見書も提出します。

協定届と労使協定書の違い

項目 協定届 労使協定書
役割 労働基準監督署へ届け出る法定様式 会社と労働者代表が合意した内容を記録する書面
提出 対象期間開始前に提出 通常は社内で保存。協定届とともに確認されることがある
主な内容 法定様式で指定された記載事項 対象者、期間、勤務日、勤務時間などの具体的な合意内容
保存 届出控えを保存 協定書原本を保存

協定届と労使協定書の内容が異なると、制度の適法性や実際の労働時間管理に問題が生じます。年間会社カレンダーを含め、3つの書類を同時に作成・確認することが大切です。

協定届の書き方・記入例

【参考】岡山労働局
 ◎1年単位の変形労働時間制に関する協定届の記入例と留意事項別ウィンドウで開く
 ◎パンフレット 1年単位の変形労働時間制別ウィンドウで開く

事業の種類・事業の名称・事業の所在地

事業の種類:「金属製品製造業」「衣料品小売業」のように、事業の内容が具体的にわかる名称を記載します。

事業の名称には、「〇〇株式会社〇〇工場」「〇〇株式会社〇〇営業所」のように、本社だけでなく事業場(支店・工場・営業所など)の名称まで記載する必要があります。

1年単位の変形労働時間制に関する届出は、原則として事業場単位です。複数の工場や営業所がある会社では、それぞれの勤務実態や管轄する労働基準監督署を確認します。

事業の所在地(電話番号)には、その事業場の実際の所在地(郵便番号・住所・電話番号)を記載します。

記入例:事業の種類「金属製品製造業」/事業の名称「〇〇金属工業株式会社 〇〇工場」/所在地「〒000-0000 〇〇県〇〇市〇〇町1-2-3 電話:00-0000-0000

労働者数

労働者数欄には、その事業場で常時使用する労働者数を記入します。役員は人数に含めません。

有期契約のパート・アルバイトについても、協定届の作成時点で雇用契約がある場合は人数に含めて記載します。

1年単位の制度を適用しない労働者も、常時使用する労働者数には含まれます。

該当労働者数(満18歳未満の者)

1年単位の変形労働時間制の対象となる労働者数を記入します。

1年単位の変形労働制は、法令上、対象労働者の範囲を明確に定める必要があります。

対象者の範囲は、労使協定書や就業規則の記載と一致させます。「正社員」と書いているのに、実際にはパートにも同じカレンダーを適用している、といった不一致がないようにします。

例えば、事業場全体では350人でも、制度の対象が製造部門の280人だけであれば、該当労働者数は280人です。

そのうち、満18歳未満の者がいればカッコ内にその人数を記入します。

通常の成人向けの「1年単位の変形労働時間制」では、忙しい日に1日10時間などのシフトを組めますが、18歳未満の労働者に対しては1日8時間・週48時間(週40時間を超える部分は時間外として扱うか、あるいはその枠内)の壁が厳格に適用されます。

満18歳未満の者に変形労働制を適用する場合には、「該当労働者数」、「労働時間が最も長い日の労働時間数」及び「労働時間が最も長い週の労働時間数」の各欄にカッコ書きします。

対象期間(起算日)

対象期間は1か月を超え1年以内で具体的に記載します。

たとえば「令和8年4月1日から令和9年3月31日まで」、「1年間」のように、期間を明確にします。起算日は対象期間の初日です。

対象期間と起算日が分かることで開始日と終了日が明確になります。

記入例:対象期間「1年間」/起算日「令和8年4月1日」

特定期間

特定期間を設ける場合は、その具体的な期間を記入します。

特定期間とは、対象期間のうち、特に業務が繁忙な時期として労使協定で定める期間です。

「繁忙期」などの抽象的な表現ではなく、「○月○日から○月○日まで」のように、開始日と終了日を具体的に記載します。

ただし、特定期間を対象期間の大部分に設定すると、特定期間を設ける趣旨に反すると判断されるおそれがあります。実際に業務が繁忙となる時期に絞って設定しましょう。

なお、特定期間は必ず設けなければならないものではありません。設けない場合は「なし」と記載します。

1年単位の変形労働時間制では、通常は連続して労働させることができるのは最大6日までですが、特定期間を設定した場合は、1週間に1日の休日が確保できる日数として、連続労働日数を最大12日までとすることができます

そのため、繁忙期に連続勤務が必要となる事業場では、特定期間を適切に設定しておくことが重要です。

対象期間中の各日及び各週の労働時間並びに所定休日

対象期間の労働日と労働日ごとの労働時間は具体的に特定する必要があります。

特定した労働日又は労働日ごとの労働時間を任意に変更することはできません。

年間カレンダー等を別紙として作成している場合は、協定届上でその別紙を参照する形にし、どの日が労働日・休日で、各労働日の所定労働時間が何時間なのか確認できるようにします。

年間カレンダーでは、対象期間中の総労働時間が確認できる必要があります。カレンダーだけでは労働時間が分からない場合は、「A勤務:8時00分~17時00分(休憩1時間、所定8時間)」のような勤務区分表も添付します。

静岡労働局では、1年単位の変形労働時間制における労働時間や休日の設定が適正かどうかを確認できる「変形労働時間チェックカレンダー」を公開しています。

チェックカレンダーを活用することで、設定した労働日や労働時間が制度の要件を満たしているかを確認することができます。

労働日及び労働日ごとの労働時間の特定の特例

1年単位の変形労働時間制では、原則として、対象期間中の労働日と労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める必要があります。

ただし、1年先までのすべての勤務日や労働時間をあらかじめ確定することが難しい場合には、対象期間を1か月以上の期間ごとに区分して定める特例を利用することができます。

例えば、シフトによって勤務日や勤務時間を決める飲食店や小売店など、数か月先の勤務予定まで確定することが難しい事業場では、この特例を活用することが考えられます。

対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する場合は、次のように労働日と労働時間を定めます。

対象期間が始まるまでに、労使協定で次の事項を定めます。

  1. 最初の期間における労働日と労働日ごとの労働時間
  2. 最初の期間以外の各期間における労働日数と総労働時間

② 最初の期間以外の各期間については、その期間の初日の30日以上前までに、具体的な労働日と労働日ごとの労働時間を定めます。

この場合、①であらかじめ定めた労働日数と総労働時間の範囲内で、過半数労働組合または労働者の過半数代表者の同意を得て、書面により定める必要があります。

ここで注意したいのが、シフトを決める時期です。

1か月単位の変形労働時間制とは異なり、1年単位の変形労働時間制でこの特例を利用する場合は、各期間の初日の30日以上前までに労働日と労働時間を具体的に定める必要があります。

シフト制の飲食店や小売店などで導入する場合は、「翌月のシフトをいつ作成・確定するのか」まで考えたうえで制度を設計することが重要です。

対象期間中の1週間の平均労働時間数

対象期間中の総所定労働時間数/対象期間中の歴日数×7日」の式から1週間の平均所定労働時間数を算出して記入します。

年間会社カレンダーの所定労働時間を合計し、対象期間の週数で平均して、40時間以内となっていることを確認します。

総労働時間そのものは、協定届に独立した「総労働時間」欄として記載するのではなく、平均労働時間や総枠を確認するための基礎数値として計算します。

逆算すると、1年間365日なら、総労働時間の上限は「40時間 × 365日 ÷ 7 ≒ 2,085.7時間」です。

協定の有効期間

「協定の有効期間」には、今回締結した労使協定が効力を持つ期間を記入します。

1年単位の変形労働時間制では、労使協定に「有効期間」を定める必要があります。

対象期間とは意味が異なりますが、通常は、制度を適用する対象期間と協定の有効期間を合わせて設定すると分かりやすいでしょう。

「対象期間」と「協定の有効期間」の違い

「対象期間」は、1年単位の変形労働時間制によって労働時間を平均する期間です。

一方、「協定の有効期間」は、その労使協定自体が効力を持つ期間です。

毎年1年単位の変形労働時間制を利用する会社では、対象期間が終了する前に翌年度分の年間カレンダーを作成し、新たな労使協定を締結したうえで、次の対象期間が始まる前に協定届を提出することになります。

記入例:協定の有効期間「令和8年4月1日から1年間」

対象期間中の労働時間が最も長い日の労働時間数

年間会社カレンダーで定めた1日の所定労働時間のうち、最も長い時間数を記入します。休憩時間を除いた時間です。

この欄に記入するのは、実際に残業を含めて最も長く働いた日の時間ではありません。協定で設定する所定労働時間の最大値です。

1日10時間が限度です。

なお、満18歳未満の者に本制度を適用する場合は、「該当労働者数」「労働時間が最も長い日の労働時間数」「労働時間が最も長い週の労働時間数」の各欄について、それぞれ括弧書きで別途記載する必要があります。

労働時間が最も長い週の労働時間数

週の起算日を基準に、年間カレンダーの各週の所定労働時間を合計し、その中で最も長い週の時間数を記載します。

1週52時間が限度です。

ここで注意したいのが「週の起算日」です。日曜日起算か月曜日起算かで、同じカレンダーでも最長週の集計が変わることがあります。就業規則の定めを確認してから集計します。

対象期間中の総労働日数

年間会社カレンダー上の労働日を集計して記載します。対象期間が3か月を超える場合は、原則として1年当たり280日以内です。

対象期間が1年間であれば、365日-280日=85日となり、少なくとも年間85日の休日を確保する必要があります。

対象期間が1年未満の場合は280日×対象期間の暦日数÷365日で按分計算します。

半日勤務の日であっても、その日が労働日であれば原則1労働日として数えます。0.5日として計算する欄ではありません。

また、制度を前年から継続している場合には、旧協定との関係で労働日数の上限が280日より少なくなることがあるため、前年の協定内容も確認します。(下記フロー図参照)

労働時間が48時間を超える週の最長連続週数

対象期間が3か月を超える場合、1週間の所定労働時間が48時間を超える週を連続して設定できるのは、3週以内です。
年間カレンダーを確認し、48時間を超える週が最も長く何週連続しているかを記入します。

対象期間中の労働時間が48時間を超える週数

対象期間が3か月を超える場合は、対象期間を起算日から3か月ごとに区分し、各期間で48時間を超える週の初日の数が3以下となるようにする必要があります。

例えば、1年間を4つの3か月期間に区切った場合、それぞれの期間で48時間を超える週が3週以内になっているかを確認します。協定届には、その中で最も多い週数を記入します。

1年単位の変形労働時間制では、1週間の労働時間の上限が原則52時間であればよいというだけではありません。対象期間が3か月を超える場合には、

  • 48時間を超える週を連続させることができるのは3週以下
  • 対象期間を起算日から3か月ごとに区分した各期間で、48時間を超える週の初日の数が3以下

という要件も満たす必要があります。

そのため、年間カレンダーを作成するときは、「最も長い週が52時間以内か」だけでなく、48時間を超える週が何週連続しているか、また各3か月の期間に何週あるかも確認しましょう。

対象期間中の最も長い連続労働日数

年間会社カレンダーを確認し、休日を挟まずに連続して勤務する最長日数を記入します。通常期間と特定期間で欄が分かれている場合は、それぞれ確認します。

通常期間の連続労働日数は6日が限度です。

特定期間中の最も長い連続労働日数

特定期間では、最低でも1週間に1日の休日を確保する必要があるため、連続労働日数は12日が限度です。

旧協定の内容

前年から引き続き1年単位の変形労働時間制を採用している場合には、旧協定の対象期間や労働日数、最長日の労働時間、最長週の労働時間などを前年の協定届・カレンダーから確認して記載します。

前回、所轄労働基準監督署に届け出た1年単位変形労働時間制に関する協定届の内容を転記します。

ここで確認するのは前年の実績残業時間ではなく、旧協定で設定していた内容です。

初めて導入する場合は、現行様式の記載方法に従って「該当なし」等と整理します。

協定の成立年月日

会社と過半数労働組合または過半数代表者が、協定内容について合意した日を記入します。

協定届を労働基準監督署へ提出した日ではありません。

有効期間の初日以前に成立させる必要があります。

過半数代表者の職名・氏名、チェックボックス

過半数労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者の職名と氏名を記入します。職名欄には「製造職」「事務職」など、社内での立場が分かる内容を記載します。

労働基準法上の管理監督者は、過半数代表者になることはできません。

また、過半数代表者は、1年単位の変形労働時間制の協定を締結する者を選出することを明らかにしたうえで、投票や挙手など、労働者の意思に基づく方法で選出する必要があります。使用者が一方的に指名することはできません。

ポイント:「従業員の代表は、会社ではなく“従業員側で公平に選ぶ”ことが大切です。

選出日、選出対象者、投票・信任結果などを社内記録として残しておくと、後から選出手続を確認しやすくなります。

協定届には、過半数代表者が適正に選出されたことを確認するチェックボックスがあります。チェックがない場合は有効な協定とはならないため、忘れずにチェックしましょう。

使用者

使用者欄には、事業場を代表して協定を締結する使用者の職名と氏名を記入します。

一般的には、代表取締役や工場長、支店長など、その事業場について労務管理上の権限を持つ者を記載します。

協定届と協定書への押印について

令和3年4月1日以降の届出に押印は必要ありませんが、協定書については、引き続き、署名又は記名押印など、労使双方の合意が明らかとなる方法で締結してください。

労使協定書の記載例

以下は、年間カレンダー方式を想定した簡略な記載例です。実際には、自社の勤務形態、対象者、就業規則に合わせて調整してください。

1年単位の変形労働時間制に関する労使協定 (例)
○○金属工業株式会社○○工場と労働者の過半数を代表する者は、1年単位の変形労働時間制に関し、次のとおり協定する。

(勤務時間)
第1条 所定労働時間は、1年単位の変形労働時間制によるものとし、1年を平均して週40時間を超えないものとする。
  2 1日の所定労働時間は8時間とし、始業・終業の時刻、休憩時間 は次のとおりとする。
   始業 午前8時30分
   終業 午後5時30分
   休憩 正午から午後1時まで
(対象期間及びその起算日)
第2条 対象期間は1年間とし、このときの起算日は令和○年4月1日とする。
(所定休日)
第3条 所定休日は別紙年間カレンダー のとおりとする。
(対象となる労働者の範囲)
第4条 本協定による変形労働時間制は、次のいずれかに該当する労働者を除き、全労働者に適用する。
  イ 妊娠中又は産後1年を経過していない女性労働者のうち、本変形労働時間制の適用免除を申し出た者
  ロ 育児や介護を行う労働者、職業訓練又は教育を受ける労働者その他特別の配慮を要する労働者に該当する者のうち、本変形労働時間制の適用免除を申し出た者
(賃金の清算)
第5条 変形期間の途中で採用された労働者、退職する労働者等については、その者の実際に労働した期間を平均して1週間当たり40時間を超えた労働時間分について、労働基準法第32条の4の2の規定により割増賃金を支払うこととする。
(特定期間)
第6条 特定期間は、令和○年6月1日から令和○年7月31日までとする。
(有効期間)
第7条 本協定の有効期間は起算日から1年間とする。

令和○年○月○日
 ○○金属工業株式会社○○工場 工場長       〇〇 〇〇 ㊞

 ○○金属工業         労働組合執行委員長 〇〇 〇〇 ㊞

①対象者の範囲、②対象期間及び起算日、③特定期間、④労働日及び労働日ごとの労働時間、⑤労使協定の有効期間、という5つの項目を過不足なく盛り込むことが、有効な労使協定として認められるための基本になります。

労使協定書は、年間カレンダーとあわせて協定届に添付して届け出ます。

添付書類と提出時のチェックポイント

協定届を提出する際は、以下の3点がそろっているかを必ず確認しましょう。

  • 協定届(様式第4号):記載欄に漏れや矛盾がないか(例:総労働日数と休日日数の合計が対象期間の暦日数と一致しているか)
  • 労使協定書:協定届の記載内容と、労使協定書の条文内容が一致しているか
  • 年間カレンダー(勤務カレンダー):対象期間中のすべての労働日・休日・各日の所定労働時間が具体的に特定されているか

この3点は相互に整合していることが前提です。たとえば協定届に記載した総労働時間と、年間カレンダーから積み上げて計算した労働時間の合計が食い違っていると、届出内容に誤りがあるとして訂正を求められる可能性があります。提出前に、社内でダブルチェックする体制を整えておくと安心です。

記入時によくある間違い

  • 労働日数・労働時間の記載が、年間カレンダーの集計結果と一致していない:協定届の数値は、年間カレンダーの内容を集計した結果と必ず一致させる必要があります。概算で記載してしまうと、後から矛盾が見つかることがあります。
  • 特定期間中の連続労働日数の限度を、対象期間中の限度(6日)と混同している:特定期間は最大12日まで緩和されますが、対象期間の他の期間はあくまで原則6日が限度です。欄を混同して記載しないよう注意しましょう。
  • 18歳未満の労働者がいるにもかかわらず、括弧書きの記載を省略している:満18歳未満の者を対象に含める場合は、該当労働者数や労働時間の欄に括弧書きでの記載が必要です。
  • 労働者代表の選出方法が「使用者が指名した」となっている:過半数代表者は、投票、挙手など、労働者の民主的な手続きにより選出される必要があります。使用者が一方的に指名した者は、有効な過半数代表者とは認められません。
  • 協定届は提出したが、年間カレンダーを添付し忘れている:協定届単体では、対象期間中の具体的な労働日・労働時間が示されていないため、年間カレンダーの添付が不可欠です。
  • 年間カレンダーを見ても、総労働時間や1週間の平均労働時間が分からない:年間カレンダーには、各日の労働日・休日だけでなく、各労働日の所定労働時間が分かるようにしておく必要があります。勤務記号だけを記載する場合は、「A勤務=8時間」「B勤務=9時間」など、勤務区分ごとの労働時間が分かる資料もあわせて作成しましょう。年間カレンダーから総労働時間を集計し、対象期間を平均して1週間40時間以内となっていることを確認できるようにしておくことが大切です。
  • 過去に提出しただけで、毎年協定届を提出していない:1年単位の変形労働時間制は、対象期間ごとに労使協定を締結し、対象期間が始まる前に協定届を提出する必要があります。 対象期間を1年間としている場合は、毎年、新たに労使協定を締結し、協定届を提出します。過去に一度提出した協定届を、そのまま継続して使うことはできません。

まとめ

1年単位の変形労働時間制に関する協定届は、年間会社カレンダーを作成し、その内容を集計・確認したうえで作成する書類です。協定届だけを見ながら数字を埋めるのではなく、労使協定、就業規則、年間カレンダー、36協定を並べて確認することが重要です。

特に、対象期間中の1週間の平均労働時間数、総労働日数、最長日・最長週、48時間超の週、連続労働日数、旧協定との関係は、実際のカレンダーを集計しないと正しく記載できません。

久野事務所では、協定届の作成だけでなく、年間会社カレンダーの上限確認、労使協定・就業規則・36協定との整合確認まで、実務に即してサポートしています。自社で作成した書類やカレンダーに不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

次のようなお悩みがありましたら、ご相談ください。
・年間会社カレンダーが法令上の上限を満たしているか確認したい
・自社に1年単位の変形労働時間制を導入できるか判断してほしい
・変形労働時間制と36協定の内容が合っているか確認したい
・勤怠システムの残業計算が正しいか不安がある

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参考資料(各労働局で記入例が紹介されています。)